終活というのはヘンな言葉だと思います。
高校時代の美術部の友人S君から電話。
時々電話をくれるけどどうでもいい話である。
どうでもいい電話をくれるのはいいんだけど最近タイミングが悪い。
昼にラーメンを食べかけた時とか。
今日も来客直前に電話があって、彼がどうでもいい話をしかけた時にピンポンが鳴ってどうでもいい話が中途で終わったのはどうでもいいことであった。
終活を始めたと言うんです。
終活を始めたというのは何度か聞いてます。
たぶん彼の終活は終わることなく続くと思う。
さてS君の「終活」です。
聞かなくてもわかる。
描きためた絵の処分。
彼は画才に恵まれている。
それだけならいいんですが手が速い。
個展のための2、30点は半日で描きあげる。
それだけならいいんですが個展をしたがる。
それだけならいいんですが売れない。
で、大量の絵がたまってしまった。
それをヤフーで売ることを思いついた。
ついでにお父さんの写真も売ろうと考えた。
お父さんは企業人として成功した方だけど昭和20年代写真に熱中してかなりの作品が残っている。
知的で詩情あふれる作品が多い。
自分の絵とお父さんの写真を同時に売ろうとしたのはS君の人生における少ないとは言えない失敗のうちの一つと言っていい。
お父さんの写真は次々に売れるのに自分の絵は全然売れないという電話だった。
「世間の見る目は確かやなあ」と言ったら「そう思う」としみじみしてました。
こういう写真と張り合うのはしんどいですよ。