若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「メンズクラブ」

新聞の広告。
男のおしゃれの雑誌であろう。

私たちの世代の男は、あまりおしゃれではないと思う。
私の高校は、服装は自由だったが、ほとんどの男は学生服で、女はセーラー服だった。
今と比べれば、モノもカネも不自由な時代だった。

息子はおしゃれである。
中学時代から、おしゃれに目覚めたように思う。

中学に入ってすぐだったか、息子が友達のAくんと駅前を歩いていたら、小さなジーンズ店があったので、ふらりと入った。
おじさんが出てきて、色々説明しだした。
おじさんは、かわいい中学生が入ってきたので、ジーンズのことを教えてやろうと思っただけに違いない。

しかし、中学生の男の子にとっては一大事である。

「うわー!大変なことになってしまった!おじさんが一生懸命説明してくれている!買わないと悪い!金は無い!どうしたらいいのか!」
息子は焦り、切羽詰り、絶体絶命の状況に追い込まれたように感じたのであった。

そのとき、ダダダッ!という足音がした。
息子が驚いて振り向くと、なんと、A君が脱兎のごとく店から逃げ出して行ったのであった!

一人残された息子は、「あ、どーもどーも」と言いながら、後ずさりしておじさんの魔手から命がけで脱出したそうである。

それにしても、ひどいぞAくん!
ウチの息子を置き去りにして逃げ出すなんて。

「オジサン」という言葉が使われだした頃、「オジサン」とは、結婚前は母親が買ったものを着て、結婚したら奥さんが選んだものを着る人のことだと言った人がある。

そうすると、私は典型的オジサンであるが、一度だけ母に文句を言ったことがある。
高校のころ、男性用パンツというと、トランクス型の柄物が主流だったようで、私は、母が買う縞柄や格子柄のパンツをはいていた。と思う。
ある日、母が買ってきたパンツの柄を見て私は首をひねった。

ラッパから馬が首を出して笑っている絵がちりばめられたパンツなのであった。

私は母に、どうしてこんなヘンな柄のパンツを買ったのかと聞いた。
母は笑いながら、パンツの柄なんかどうでもいいやないの、と言った。

私はこれまでの人生で数多くのパンツをはいたが、このときの、ラッパから馬が首を出して笑っている柄のパンツだけははっきりと覚えている。

私の脳に聞きたい。
どうしてこんなしょーもないことを覚えているのだ。