若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「工事業者さんえ」

昨日、車で走っていて、町で見かけた看板。

道路沿いに小さな商店や会社が並んでいる。
その店の前にかなり大きな看板が立ててある。
ベニヤ板に白いペンキを塗った上に、下手な字で書いてある。

「工事業者さんえ」

粗末な看板と下手な字と「さんえ」という文字使いが、なんともほのぼのとした雰囲気をかもし出している。

「不要ならクーラーの配管とVA線譲ってください」

看板の前には、天を切ったドラム缶が置いてあって、ごみ入れかと思うところだが、ここに不要な「クーラーの配管」や「VA線」を入れてください、ということだろう。
その店は、「家電リサイクルショップ」だった。

やはり道路に面した新築の建売住宅。
おしゃれというか、けばけばしいというか評価の分かれるところだが、まあ、ちょっとふつうじゃない外観の家である。
道路から階段で上がったところに、おしゃれというかけばけばしいというか、まあちょっとふつうじゃないドアがある。

ドアに、画用紙で張り紙がしてある。
赤いマジックインキで何か書いてある。

「特殊工法につき同業者の見学はご遠慮ください」

ほんとか?
本当に同業者に見せたくないのか、あるいは、「特殊工法」だということを客に訴えたいのか判断の分かれるところである。

住宅や商店や工場の密集地の建売住宅の看板。
大きな看板である。
見取り図が書いてある。
見取り図の一部を矢印で指して

「私たちはこの空間を『マルチパーパススペース』と名づけました」

二階建て住宅の一階、玄関を入った部分である。
機械を置けば工場になるし、ショウケースを置けば商店になる、と書いてある。
いわゆる「土間」である。

むやみに外国語を使うなという意見がある。
しかし、この場合私は「マルチパーパススペース」を支持する。
「土間」よりも「多目的空間」よりも「マルチパーパススペース」がいい。

自分で使うのはいやだが、人が使うのは楽しい。

大学の時、友人と話をしていたら、その人は
「き」と言ってから、「アリストクラティックなんだよ」と言った。
「貴族的」と言いそうになって、あわてて言い直したのである。
こういう人は楽しい。