朝、バス停まで行く道の途中に空き地がある。
売りに出されてだいぶたつ。
道路沿いに杭を打ってロープを張ってある。
二、三週間前から、そのロープに座布団がぶら下がっていた。
ひもがついた、小さな薄汚れた座布団だ。
ひもでロープにくくりつけてある。
なにかのまじないか。
捨てたのだろうか。
落ちていたのを誰かがくくりつけたのだろうか。
毎朝、ロープにぶら下がったざぶとんを見るたびに、何だか不思議なようなおかしいような気がしていた。
今朝、ざぶとんがなくなっていた。
おや!と思って見ると、ロープに小さな紙がまきつけてある。
むむ!と思ってよく見ると、その紙には
「ざぶとんを拾ってくださった方
ありがとうございました」
と書いてあった。
感動した!
ざぶとん一枚で、お尻も心も暖かくなる。