若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ジャン・ボテロ『バビロンとバイブル』

若草鹿之助商店面白くなさそうな本を読む事業部営業報告。
著者紹介に、「アッシリア学の世界的権威として知られている」と書いてある。知りませんでした。失礼しました。

この本を開いてまず驚くのは、奈良市立図書館のゴム印である。
図書館の本には小さな黒いゴム印が遠慮がちに押してある。
奈良市立西部図書館」

ところがこの本には、でかでかと赤いゴム印がバーン!と押してある。

   奈 良 市
   立 西 部
   図 書 館
   成 人 室

なんじゃこれは。「成人室」?禁断の書、18才未満お断りなのか。

さて、1914年生まれの著者は、11才の時強く望んで神学校に入った。これは日本でいうとどういうことなのであろうか。というように考えてはいかんのだろう。フランスはフランスだ。

神学校の第四学年の担任の先生は、「教育に向いていなかった」。
第三学年の先生は素晴らしかったが、第二学年の先生は「教育者には不向きだった」し、第一学年の先生は「完全な阿呆だった」。
あまりいい学校ではなかったようだ。
それと、「第一学年」が最上級のようですなー。

著者は修道院に入りたいと願っていたので、17才の時、「修練学校」に入る。一年間の修練期間の後、「単式誓願」を立て、三年の後「盛式宣誓」を行う。「単式誓願」と「盛式宣誓」は、説明がないのでなんのことかわからんが、わからなくても平気だ。

アッシリア学者になった著者は、粘土板を掘り出し、楔形文字を読む。
これまでに掘り出された粘土板は、50万枚ほどで、ほとんどが面白くもおかしくもない事務文書だそうだ。

「小麦二十袋発送」と楔形文字で書かれた粘土板に向かっている人たちに敬意を表します。向かっているうちに、二千年前のメソポタミアの宮殿で、毎月600リットルもの香料が生産されていたことから、香料をつけて街を行く人々や、香をたいて行う儀式などが見えてくる。

書記の見習いが、先生のお手本の下に楔形文字の練習をした粘土版もある。
楔形文字でも上手下手があるのだ。

週刊誌みたいな粘土版もある。「亭主以外の男の子供を妊娠した女が、生まれて来る子供が亭主に似ていますようにと祈っている」
アッシリア学の成果である。

題でごまかされたが、この本は期待に反して面白かった。
ジャン・ボテロさんはたぶん大学者だと思います。