若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ハムはダメ

プロ野球日本ハムファイターズを批判しようというのではない。

倉敷からの帰りの新幹線で、車内販売の女性がワゴンを押してやってきた。
私たちの座席の横で止まった。後の席の男性がなにか買うようだ。

「そのサンドイッチはハムが入ってますか」
「は?・・はい、ミックスサンドですので」
「ハムが入ってる?」
「はい」
「じゃ、ダメだ。・・・こっちのサンドイッチもハムが入ってる?」
「え〜っと・・・あ、入ってます」
「ダメだな。う〜ん・・・その幕の内は、ハム入ってる?」
「・・・え〜・・・入ってませんね」
「入ってない!じゃ、幕の内にしよう」
「あ!やっぱり入ってます」
「入ってる?ダメだな。・・・それは?」
「これは、岡山名物ままかりのおすしです」
「ハム、入ってない?」
「あ、あの、岡山名物ままかりのおすしですので」
「入ってないんだね」
「は、はい」
「じゃ、それ・・・あ、おすしだとお酢が入ってるね」
「そうですね、はい、おすしですので」
「ダメだな。う〜ん、そっちのサンドイッチは?」
「え〜っと、あ!これは野菜と卵ですね」
「ハム、入ってない!」
「入ってません」
「それ四つください!」

いやにハムにこだわる人だな、ハムアレルギーだろうかと思って聞いていたが、はっと気づいた。後の席に、スカーフをかぶった女性を含む、中東風の人たちが座っていたのだ。イスラムの戒律だろう。しかし、ハムだけに注意していればいいのだろうか。この人は、戒律についてよく知っているのだろうか。心配である。

難波からは近鉄特急で帰った。
学園前駅で降りるとき、二階座席から若いお母さんが、三歳くらいの男の子を連れて降りてきた。二人は階段で立っていた。両手に荷物を持ったお母さんが男の子に厳しく言った。

「ころぶといけないから、手すり持ってなさい!」

男の子は手すりをしっかり握った。
おりこうである。

電車が止まる時、お母さんがしりもちをついた。
私がうれしそうに見たので、お母さんはばつが悪そうに笑った。
男の子は、うれしそうに見たりせず黙っていた。
おりこうである。