バス停に行く途中に大きな家がある。
以前は、朝、黒塗りの大型車が御主人を迎えに来ていた。
200坪くらいで、道路に面した庭が良く見える。
何年か前、庭で工事が始まった。
鉄道の枕木のような、あるいは大きな廃材のようなものが何本か組み上げられた。
どうなるのかと思って見ていたが、どうにもならず、それでおしまいであった。
理解に苦しむ構築物が完成した。
こういうのを「何趣味」というのだろうか。
そこの、70代と思える上品な奥さんが、白いプードルを抱いて、表に出ているのをよく見かけた。
時々門の前に、犬の入浴サービス会社の車が止まっていた。
奥さんがかわいがる、大事なプードルなのだ。
最近、奥さんとプードルを見かけない。
今朝、その家の前を通ると、「ワンワン」とほえる声がする。
見ると、庭で白いプードルが、私に向かってほえていた。
奥さんは、と見回したが姿は見えない。
誰もいない広い庭を、プードルは走り回り、ほえまくっていた。
奥さんはどうしたのだろうか。
今まで、この犬が庭にいるのを見たことがない。
室内で飼われていたのだ。
なぜ朝早くから、庭を走り回っていたのだろうか。
この、どうでもいい謎は解けるのであろうか。